「香港返還から20年、今の香港を生きる若者たちの叫び」


 

昨日夜にテレビで「香港返還から20年 “約束はどこへ・・・”」という番組をやっていました。番組を見ていて、当時の出来事を思い出しました。台湾でも2014年3月に学生たちよるひまわり学生運動がありました。そこで、今回は2014年の香港反政府デモである「雨傘運動」(Umbrella Movement)について当時のことを振り返ります。

 

「雨傘運動」って何なの?

2014年9月26日に香港で起きた香港特別行政区政府に抗議するデモ活動。広東語では雨遮(傘)革命)と呼ばれています。総参加者数は120万人ともいわれています。当時、香港の高校生や大学生らを中心とする民衆派が、2017年の行政長官(香港のトップ)の選挙をめぐり、中国政府が自由な立候補を阻むために設置した「指名委員会」に反発しました。

この運動は、中環(セントラル)地区の行政府庁舎前で起きました。この学生らのデモ活動に対して地元警察官らは、運動を取り締まるために催涙スプレーを使用しました。そこで、これを防ぐために学生らが雨傘を開いて抵抗している様子をイギリスのメディアが「雨傘革命」(Umbrella Revolution)や「雨傘運動」(Umbrella Movement)と名付けたことから、「雨傘革命」と呼ばれることになりました。

 

「雨傘運動」が起きた背景とは?

では、そもそもこの雨傘運動が起きるきっかけとなったのは何なのでしょうか。
まず、この運動が起きた背景を知るために、話は香港返還にまで遡ります。

昔、香港は1842年の南京条約によって、清朝からイギリスに割譲されました。そして、1997年7月1日、香港の主権がイギリスから中国へ返還されました。この出来事を中国語で「香港主權移交/香港回歸」といいます。当時、この香港返還をめぐりイギリスと中国は幾度なくもめていたのですが、最終的に1984年の「中英共同宣言」によって、返還から50年間は、外交・防衛を除く分野での「高度な自治」を保障するという「50年不変の原則」が約束されました。そして、現在に至るまで「一国二制度」が貫かれてきたのです。

「高度な自治」とは、本来、香港市民による民主政治を意味します。しかし、香港のトップである行政長官を選ぶ選挙では、香港市民に直接選挙権がないのが現実です。香港の行政長官の選挙は定数1200人の選挙委員による投票で行われます。当然、香港市民はこの選挙制度に強い不満をもっていました。

そこで、2014年8月、中国政府は香港市民の意向をくみ、18歳以上の市民に行政長官選挙の投票権を与えるという新しい制度を提案しました。しかし、実際には、立候補者は新設される指名委員会が選定する仕組となっており、事実上、中国政府の意向にそぐわない民主派の候補者は淘汰されることになります。

こうなると、当然香港市民の怒りは爆発します。そして、これをきっかけにまず香港の若い学生らが香港の民主主義を守るために立ち上がりました。すると、全日国内外のメディアが報道しはじめ、のちに多くの香港市民の支持をうけた学生らによるこのデモ活動は九龍半島にまで拡大しました。

 

「雨傘運動」の若きリーダー黄之峰と学民運動“10代の女神”とよばれた周庭とは誰?

この雨傘運動において、中心的な役割を担ったとされるのが黄之峰(Joshua Wong)と周庭(アグネス・チョウ)の二人だが、一体どんな人物なのでしょうか。

 

黄之峰(Joshua Wong):

1996年香港生まれ

香港公開大学社会科学の学生

2011年に学民思潮に参加

中国政府の圧力を受け、マレーシアとタイで入国拒否にあう。

 

(参考)学民思潮:1990年代生まれの香港の若者が主なメンバー。香港政府が開設する国民教育が洗脳教育であると主張し、撤回を求めることを目的としている。雨傘運動でも大きな役割を担う。2016年3月に活動を停止。

 

周庭(Chow Ting Agne):

1996年香港生まれ

浸会大学国際政治・政策学科の2年生

民主派の政党「香港衆志」に所属

独学で日本語を学び、多くの日本メディアに取り上げられる

 

香港の若者たちの主張ってなに?

この雨傘運動の中心であった香港の学生たちは、中国共産党により「一国二制度」のシステムが侵され、香港市民による民主主義社会そのものが破壊されることに大きな懸念を抱いています。今回の運動では、香港市民による直接選挙によって香港のトップである行政長官を選出すべきだと強く主張しています。また、中国共産党による高圧的な香港社会への干渉に大きな苛立ちを感じている香港の若者たちは数多く存在します。彼らは、香港の民主化が進まないのは香港政府が香港市民の意見を中国側に伝えようとしない怠慢にあると主張しています。

 

世界各国の反応は?

 

EU:「懸念を表明し、注意深く調査を続ける」

 

国連:「今回のデモを中国国内の問題であることを理解している」

 

英国:「深く憂慮し、(一国二制度に対して)深い義務を感じている」

「抗議する権利は守られるべきだ」

 

米国:「アメリカは、直接選挙と香港住民の願いを一貫して支持する」

 

カナダ:「普通選挙のための香港住民の民主的な願望が平和的に達成される事を望む」

 

台湾:「台湾は香港の民主的な選挙制度が実現するよう願っている」

 

日本:「従来通り一国二制度の下で自由で開かれた体制が維持され、我が国との密接な交流関係が保たれるよう期待する」

 

中国:「香港問題は純粋な内政だ。他国が占拠という違法活動を支持する行為には強く反対する」

 

今回のデモ活動による負傷者数は?

この雨傘運動による負傷者数は、メディアの発表によると次のとおりとなっています。

デモ参加者:300名以上

警察側:130名

記者:26名

 

この雨傘運動を通して思うこと

今回、ぼくが当時の香港で起きた雨傘運動を通して、香港の若い人たちが自分たちの権利、社会を守るために仲間たちと団結し、巨大な中国共産党を恐れることなく、果敢に立ち向かう姿に感動しました。以前に日本の学生団体SEALDs(シールズ)が国会議事堂前に集結し、安全保障関連法や憲法改正に反対するデモ活動がありましたが、ぼくは正直情けないと思いました。

自分の意見を主張するのは良いのですが、相手を徹底的に批判した誹謗中傷、ノリで参加するばか、ヘイトスピーチをする連中など見るに堪えない光景がたくさんありました。彼らのデモ活動の目的や意義が曖昧で共感できるものがありませんでした。

それに対して、香港のデモ運動は誰が見てもおそらく彼らの活動の目的や主張が明確だと実感したのではないでしょうか。だからこそ、多くの海外のメディアまでが連日報道し、その姿をカメラに映したのだと思います。

しかし、それと同時に、大規模なデモ活動を行うことで社会全体に与える悪影響についてもっと配慮すべきであったと思います。これほどの規模のデモ活動であれば、都市の交通機関は麻痺し、多くの市民の生活に多大な迷惑をかけることになり、経済的損失も大きくなります。

ぼくにとって悲しく感じたことは、デモにより負傷者がたくさんでたことです。最初は平和的だったデモ活動も規模がでかくなり、警察も出動するとなると当然衝突は避けられません。しかし、だからといって暴力行為は許されるべきことではありません。

何かを主張し実現するにはいろんな方法があります。今後、同じような運動が世界のどこかで起きたとしても、負傷者がでないことを祈るばかりです。

 

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投稿者: Dr.K

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